「魔女の宅急便」「紅の豚」「風の谷のナウシカ」の舞台はどこの国? モデルになってる町はどこ? ファンにとっては気になるところですし、聖地巡礼に興味がある方もいらっしゃると思います。そこでネット検索をしてみるといろんな記事が出てきますが、間違った記述が多いです…。
そこで、旅のプロがエビデンスに基づいたジブリ映画の本当の舞台、モデルになった町についてご紹介します。
目次
スタジオジブリ公式発表している映画の舞台
下記に挙げる映画はスタジオジブリが公式に「ここが映画の舞台です」と発表している場所です。逆を言えば、ここに記載が無い場所は映画の舞台ではないということです。
ジブリ映画 - 作品名 | 場所 |
おもひでぽろぽろ | 山形 |
海がきこえる | 高知・吉祥寺など |
平成狸合戦ぽんぽこ | 多摩ニュータウン |
コクリコ坂から | 横浜・新橋 |
映画制作をするために大いに参考にした場所
下記に挙げる映画はスタジオジブリが公式に「この場所を映画制作をするために大いに参考にした場所です」と発表している場所です。つまり、「部分的に参考にしただけで舞台ではありません」という場所になります。
ジブリ映画 - 作品名 | 場所 |
天空の城ラピュタ | イギリス・ウェールズ地方 |
となりのトトロ | 埼玉県所沢市近郊 |
魔女の宅急便 | スウェーデンのストックホルム、バルト海のゴトランド島ヴィスビーの町 |
紅の豚 | アドリア海沿岸 |
耳をすませば | 京王線の聖蹟桜ケ丘駅周辺(東京都多摩市) |
もののけ姫 | 屋久島、白神山地 |
千と千尋の神隠し | 江戸東京たてもの園 |
猫の恩返し | 横浜元町 |
ハウルの動く城 | フランス・アルザス地方、中央アジア |
崖の上のポニョ | 広島県福山市鞆の浦 |
借りぐらしのアリエッテ ィ | 青森県盛美園、小金井市はけの小路、武蔵野公園と野川 |
尚、ここが舞台と言える作品と場所や大いに参考にした場所に関するスタジオジブリの公式発表は下記がソースです。
作品の舞台はどこですか? - Q&A スタジオジブリ
スタジオジブリ公式発表ではないが、有力者による発言など一定の信憑性があると判断できるジブリ作品と舞台の国と場所
下記の映画は、スタジオジブリが公式に発表していないものの、有力者による発言などで一定の信憑性があると判断できるジブリ作品(関連作品含む)の舞台の場所です。
ジブリ映画 - 作品名 | 場所 |
風の谷のナウシカ | 中央アジアの乾燥地帯、腐海はクリミア半島のシュワージュ(ウクライナ) 『COMIC BOX』1984年5・6月号の対談で宮崎駿氏による発言 |
紅の豚 | ミラノ(イタリア) 劇中のセリフでミラノと具体的な町の名前が出ており、ナヴィリオ運河と思われる描写も放映 |
天空の城ラピュタ | アンコールワット、アンコールトム(カンボジア) 宮崎駿監督の絵コンテに「まるで、天空のアンコールワットのよう」「まるでアンコールトムの回廊のような荒れた通路」と書き込みあり |
ルパン三世 カリオストロの城 | サン・レーオ San Leo(イタリア)2016年1月7日 日本テレビ「金曜ロードショー」公式ツイッターアカウントによる発言 |
ゲド戦記 | ヨーロッパ絵画 スタジオジブリ公式『コラム「ゲド戦記の作り方」』2006年2月の記事に「クロード・ロラン、カスパール・ダヴィッド・フリードリヒ、アーノルト・ベックリンの絵画を参考にしたと記載 |
ハウルの動く城 | コルマール、リクヴィール(フランス)。この2つの町でロケハンをしたと、2023年1月6日 日本テレビ「金曜ロードショー」公式ツイッターアカウントが発言。尚、映画に登場する特徴的な建物と全く同じ建物がコルマールに実在しています(筆者も現地で確認済み) |
ここまでご紹介した内容を見ると、ジブリ映画は様々な国・地域を取り込むことで独自の世界観を作り出していることがわかり、「この町です!」といった特定の場所が舞台であることは非常に稀であることがわかります。
この町が映画の舞台・モデルでは?と噂されてる場所のうち、その可能性が無くはない作品と場所
下記の映画は、スタジオジブリが公式に発表していないどころか有力者による発言も無いなど信憑性に大きな問題があるものの、絶対に違うと完全否定はできないジブリ作品(関連作品含む)の舞台の場所です。
ジブリ映画 - 作品名 | 場所 |
魔女の宅急便 | ポルト(ポルトガル)。宮崎駿氏が映画制作前の休暇でポルトを旅行(ロケではなく個人的な旅行)しているため、ポルトの街並みがインスピレーションとして作品作りの参考になっている可能性は十分にあると考えます。実際に街並みも地形も似ています。 |
紅の豚 | ドゥブロヴニク(クロアチア)。スタジオジブリが公式発表しているのは「アドリア海沿岸」で、具体的な町の名前は出していませんが、オレンジ屋根や街並みがまさにダルマチア地方(アドリア海沿岸地域)と合致します。ドゥブロヴニクはアドリア海沿岸に位置している町なので、ドゥブロヴニクやスプリットなどの町が参考になった可能性はあると思います。 |
以上がジブリ映画の舞台・モデルとなった場所に関する本当の情報です。
冒頭でもお伝えした通り、「紅の豚 舞台」「魔女の宅急便 舞台」などと検索するとブログやWebメディアの記事が出てきますが、本当にいい加減な記事が多いです。素人さんのブログなら仕方ない部分もありますが、企業が運営する旅行系Webメディアの記事でも間違いが多々見られるのには正直呆れます(素人の旅行ライターさんが執筆しているのが原因)。
もしブログやWebメディアの記事で「紅の豚の舞台になっているドゥブロヴニク」などと書かれている記事を見たら、そのブログやWebメディアの記事は、他の記事も裏取りせずに適当な記事を書いている可能性が高いため、信用しない方が良いと思います。「紅の豚の舞台と言われているドゥブロヴニク」という記述なら嘘ではないのでまだセーフかなというところです。