アフタヌーンティーとハイティーの違いをご存知だろうか? どちらも聞いたことはあるし、どんな物だかなんとなく想像は出来るけど、何が違うんだろう? という方も多いはず。そしてクリームティーとは? 簡単にその違いと歴史についてご紹介します。
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アフタヌーンティー
イギリス発祥の喫茶習慣。習慣と言っても飲食を楽しむことよりも、社交の場としての意味合いが大きく、食器や食べ物、室内装飾、花、会話の内容、マナーなど、高度な知識が要求される。日本で言う茶道のようなものだ。
現在では、正式なアフタヌーンティーをするには相当な敷居の高さになってしまう為、通常は簡略化して行われる。
アフタヌーンティーでは、紅茶はもちろん、サンドイッチなどの軽食や、スコーン、ケーキ類などのペストリーが供される。スイーツは理解できるが、何故サンドイッチ? という疑問を持つ人も多いだろう。
アフタヌーンティーというのは、単なるお茶の時間ではなく、軽食の時間でもある。そこで2つめの疑問。アフタヌーンティーは一般的に15時~16時頃に始まるが、なぜこの時間に軽食を食べるのか?夕食に差し支えるのでは? この疑問は、ヨーロッパの文化を知っていれば理解できる。
ヨーロッパではオペラやクラシック・コンサート、クラシックバレーなどの催しが盛んだが、これらが開演するのは夕方以降。早めの夕食にするにもかなり中途半端な時間になってしまう。そして催しが終わった後に夕食を食べるとなると夕食の時間が大変遅くなり、お腹が空いてしまう。そのために、催しの前にアフタヌーンティーで腹ごしらえをする。お腹が空いていては、せっかくの楽しみも楽しめなくなる。ヨーロッパの人々は楽しみ方を知っている。
ちなみに、アフタヌーンティーを象徴するアイテムとして、2~3段のケーキスタンドが使われることが多いが、これは狭いテーブルを有効活用するために使うものであり、広いテーブルで行なうアフタヌーンティーにはティースタンドを使わないのが作法。
尚、アフタヌーンティーは優雅に紅茶を楽しむ場であるため、特にドレスコードを謳っていない場合でも短パン、サンダルは避けるべき。格好はスマートカジュアルが推奨。
ハイティー
ハイティーというのは、アフタヌーンティーよりもさらに遅い時間(一般的に17時半以降)に行う食習慣で、労働者階級・農民の生活環境から始まったもの。その為、上流階級の人々は自分たちのお茶の時間を絶対にハイティーと呼ばなかった。ハイティーはアフタヌーンティーよりもさらに遅い時間、つまり、事実上の夕食であった為、サンドイッチなどの軽食やお菓子類だけではなく、肉料理や魚料理がメインとしても並ぶ。
ちなみに、ハイティーの(high)は、メインの大テーブル(ハイテーブル)で供されることからその名が来ている。
現在では、ハイティーもアフタヌーンティーと同じ意味で使われることが多いが、これにも訳がある。それは、日本にもなじみが深いアメリカが関係する。
アメリカが独立する前はイギリスの植民地であったが、アメリカ人は「high」の意味を「formal」の意味と誤解していたため、“ ハイティー=格式ある紅茶の習慣” と勘違いしてしまい、イギリスで言うアフタヌーンティーという意味で日常化してしまったわけだ。そして第二次大戦後、アメリカから様々な文化が日本に入ってくる過程でハイティーという言葉が日本に入り、その後ヨーロッパからアフタヌーンティーという言葉も入り、2つの言葉が混在するようになってしまったというわけだ。
ハイティーといえば、最も有名なのがシンガポールのハイティー。とりわけ、シンガポールにおけるイギリス文化の象徴とも言うべきラッフルズホテルのハイティーは特に有名。シンガポールもイギリスの植民地であったために紅茶の文化が入ったわけだが、広東系華人の多いシンガポールではお菓子類はもちろん、シュウマイ、餃子などの点心も並び、中華風にアレンジされているのが興味深い。更に、シンガポールの最高級ホテルの一つでもあるセントレジスのアフタヌーンティーでは、紅茶以外に中国茶なども用意されるなど、多様化を見せている。
ちなみに、シンガポールでハイティーが始まった経緯は、元々シンガポールに滞在していたイギリス人女性たちが、蒸し暑い午後の外出を避けて優雅に紅茶を楽しんでいたことに始まり、徐々に広がっていったことによる。
アフタヌーンティーの歴史
ページ冒頭でイギリス発祥と書いたが、ヨーロッパに最初にお茶が入ってきたのが1597年、オランダ東インド会社の前身であるオランダ商船による貿易だ。尚、当時のお茶は紅茶ではなく緑茶である。
そしてイギリスにお茶が入ってきたのが17世紀。1662年にイギリス国王チャールズ2世のもとに嫁いできたポルトガルの王女キャサリンが、中国茶と砂糖を大量に持参。ちなみに砂糖は当時としては貴重な高級品である。これによってイギリス王室に喫茶の習慣をもたらし、1664年にはイギリス東インド会社がチャールズ二世にお茶を献上。そして1720年に東インド会社が本格的にお茶を流通させたことによって紅茶のブームが開花する。つまり、紅茶を飲む習慣が始まったのは18世紀に入ってからのことであり、意外とその歴史は古くない。
階級制度が確立していた当時のイギリスにおいて、アフタヌーンティーは上流階級の社交、娯楽であったわけだが、もともとの始まりは、1日2食だった当時のイギリスの食事情のため、空腹を紛らわすために紅茶と軽食を口にしたのがきっかけと言われており、これが19世紀に入ってからのこと。
その後、上流階級の女性たちが友人やお客さんを誘って楽しむことが流行し、徐々に形式化されていったというわけだ。
この紅茶ブーム到来によってフォートナム&メイソン、トワイニング、ウィッタード、H.R.ヒギンス、リプトン、ハロッズ、ウェッジウッドなど次々と紅茶関連のブランドが立ち上がり、イギリスの紅茶文化は確固たる地位を確立、現在に至っている。
フランスでの紅茶文化。イギリスとの違いは? - サロン・ド・テ
フランスと言えばカフェと思われている方が多いように思えるが、実はフランスにも紅茶文化がある。そもそもフランスにお茶が伝わったのはイギリスよりも早く、イギリス同様にオランダから持ち込まれたわけだが、イギリスが世界の紅茶を独占したため価格が暴騰。このためフランスではカフェが広まっていく結果となる。
18世紀当時、フランスではカフェが政治家や知識人、芸術家たちの情報交換の場として賑わっていたため、女性が足を踏み入れにくい場所だった。そこで、貴婦人たちがおしゃべりをしながら高価な紅茶とスイーツを優雅に楽しむ社交場として誕生したのが「サロン・ド・テ」、つまりティーサロンである。例えば、1862年創業のラデュレはサロン・ド・テの先駆けであり、アンジェリーナ(1903年創業)もそういった老舗の一つだ。
このようにブルジョワ階級のマダムたちから広がった文化であるため、フランスでは現在でも優雅にお茶を楽しむ場所がサロン・ド・テであり、5つ星高級ホテルのティーサロンではアフタヌーンティーが振舞われるのはこういった背景から。当然カフェとは違った利用の仕方であり客層も違ったりする。
イギリスでは紅茶は誰もが頻繁に気軽に飲む大衆的な文化であるのに対して、フランスでの紅茶は少し気取った文化となる。その他、イギリスとの違いは香りの文化。フランスでは香りを楽しむ文化があるためフレーバーティーが流行。特に有名なのが1854年創業のマリアージュフレールである。また、フランスでは軽い紅茶が好まれる傾向があり、渋みが強い紅茶やミルクティーよりも、すっきりと軽やかな紅茶が好まれる。このように隣国でありながら紅茶文化がここまで違うというのが実に面白い。
ホテルでアフタヌーンティーを楽しもう! おすすめの予約サイト
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