ナイル川沿いの町・アスワンから南に約280kmに位置するアブ・シンベル。この地にある神殿は、新王国時代第19王朝のファラオで、「建築王」と呼ばれたラムセス2世により紀元前1260年ごろ、造営されたもの。長い歳月の中で、砂に埋もれ、人々に忘れられていましたが、1813年スイス人のヨハン・ルートヴィヒ・ブルクハルトによって発見されました。 ラムセス2世像の足元にある入口から入ると、内部の壁には、ヒエログリフやラムセス2世がカデシュの戦いで活躍する様子を描いたレリーフなどが見られるほか、高さ10mもあるラムセス2世像が左右4体ずつ並ぶ大列柱室、そして最深部には、太陽神ラー・ホラクティ、国家神アメン・ラー、メンフィスの守護神プタハの像に混じって、神格化されたラムセス2世像が置かれた至聖所などがあります。ラムセス2世は、強大な権力をもち、自己顕示欲もかなり強かったように思えます。 何よりも驚くのは、年2回(2月22日と10月22日)だけ、奥行き約63mの位置にある至聖所の神像に、朝日が真っ直ぐに差し込むようにと神殿が設計されていることです。3000年以上も前の建造物ながら、その高い技術力に圧倒されます。(闇に棲む冥界の神でもあるプタハ神にだけは日が当たらないようになっているというのも芸が細かい!)
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